花火の心得

花火写真家 蛭田眞志 オフィシャルサイト of Masashi Hiruta ― 日本が世界に誇れる芸術作品「花火」この文化を多くの人に伝えたい ― 

花火撮影テクニック

【花火撮影テクニック】NG作品、失敗作品

投稿日:2017年7月19日

NG作品、失敗作品

様々なサイトに花火の撮影方法についての記述はありますが、どんな写真が不適切で失敗なのかに関しての書き込みは殆どありません。勿論、写真に正解はありませんが、特に花火写真のジャンルにおいては合成や加工のオンパレードで基準がなく無法地帯です。

ここでは撮影実践のカテゴリーで説明したピンボケ、手振れ、露出などの基本を除き、なるべく花火写真に特化した内容を記載していきます。また、花火が好きな人や花火関係者の中にも花火写真について見る目がない人が大勢いるので、その為にも記載してみました。

花火が他の被写体と大きく違っているのは、人の手で作り上げられている芸術作品と言う点です。花火師は自らを危険に晒しながらも花火の色や形、演出の研究に膨大な時間を掛けており、人に喜んで貰う為の様々な努力が詰まっています。花火撮影をするのであれば、そんな一面もある事も頭に入れておいて欲しいものです。

そう言った理由から自分の作品には構図や添景の工夫はあったとしても、制作者に敬意を表して花火には過度な加工は施しません。そもそも、打ち上がった花火自体に芸術性があるので、その必要もありません。その為には花火を見る目を養い、良質な花火大会だけを厳選して行く様に心掛けています。花火鑑賞ガイド「良い花火大会の条件」

 

【NG作品】事実と違う合成写真

少ない打ち上げ数が気に入らないのか、他の場面の花火を合成して華やかな演出をする花火写真をよく見掛けます。現地に行った者でないと見抜けない様に分かりにくく加工してあるものから、実際にはありえない市街地からの打ち上げ(実際には安全を確保する距離が必要になる)、酷いと観客が見ている場所から花火が打ち上がって危険極まりない状態になっている写真もあります。

見栄えを良くしたい気持ちは分かりますが、時空を歪めたり事実でない異空間を生み出して、一生懸命、花火師が作り出した演出を捻じ曲げる様な無粋な行為はどうなのでしょうか。せめて見る人に大量に花火が打ち上がるなどの誤解を与えない様に合成写真である事実は記載しておくべきだと思います。

 

【NG作品】別の花火師の作品を合成する

日本煙火芸術協会提供の作品、または花火競技大会での写真に多いです。最近はあまり見掛けませんが、うちわなどで遮光して次のシーンを入れ込む撮影法をしている人は注意が必要です。これの何がいけないのか。花火としては同じジャンルではありますが、2つは全く別の花火師の作品と言う点です。誰しも自分の撮影した写真を他人が撮った写真と合成して勝手に一つの作品にされていたら嫌でしょう。そう言ったお話です。

ちなみにうちわを使った撮影法については、添景を入れる為の露光用に使うのには問題ないと考えていますが、別の花火を入れる為に使用するのであれば、PC上で合成写真を作り出す事と何ら変わらず、演出を捻じ曲げる行為なので個人的にはあまり好ましくないと考えています。

 

【NG作品】彩度・WBの設定

今までとは違い、これからの写真業界ではRAW現像が必須項目となります。花火写真でも画像処理に関しては面倒ではありますが、確かに画質を落とさず色彩の調整ができる点は大きなメリットです。

しかし、これを人の目を引く為なのか彩度を上げ過ぎたり、ホワイトバランスを奇妙な色に設定したりと実際の花火から掛け離れた異物を作り上げる人が多いのも事実です。そう言う写真を見ると、「もっと花火をきちんと見て!そんな色してないよ!」とつい声を荒げたくなってしまいます。

花火師達は、爆発の危険性がある作業場で、たった一つの色でも理想の色が出るまで何度も何度も研究を重ねています。実際に花火工場を見学する機会は滅多にないかと思いますが、花火の色は人の手で作り上げられている事を念頭において現像してみてください。最初は難しいと思いますが、打ち上げ中に花火をしっかり見ていれば少しずつできる様になってきます。また、花火を専門で撮ってる人達の作品を参考にしてみるのもよいでしょう。

 

【NG作品】クレジットを入れない

「人の勝手でしょ」と言われそうですが、現代では勝手に他人の作品を無断使用する人が後を絶ちません。高額な機材や旅費、培ってきた撮影技術、人脈などで得た撮影情報。そう言うモノの集大成で1枚の花火写真が構成されています。折角、苦労して撮った写真がアフィリエイトなどで他人の金儲けに使われて嫌な気分になりませんか?

勿論、勝手に使った方が100%悪いです。しかし簡単に使える環境にいるのに何の対応策をしない側にも問題があります。面倒くさがらずに最低限の処置はしておくべきです。可能であれば、トリミングされない様にメインの被写体に入れてしまうのも有効です。二度と同じ花火写真は撮れません。上手く撮れた写真も失敗した写真も大切に扱って欲しいものです。

 

【失敗作品】芯抜け写真

花火写真ではシャッターを切るタイミングが遅れると、爆発の中心部が捉え切れず、いわゆる芯抜け写真と言うものが出来あがります。見た目も何だか花火に覇気がない感じです。

爆発点は花火玉の中心部に火が入り、最初に爆発する重要なシーンです。これを写真に収めないで花火写真ですと言うのは、個人的には黄身が入っていない目玉焼きと同義です。こだわる人の中には筒から花火の打ち上がった瞬間も捉えないと失敗だと考える人もいる様ですが、せめてこの爆発点ぐらいは入れて欲しいものです。

ちなみにハートやスマイルなど型物花火については制作者側も事実よりも形の表現を重視しているといると思われるので、芯抜きの写真は問題ないと考えています。何よりも写真の見栄えがよく、どんな形の花火を打ち上げたのかが分かります。また、最新の時差式花火では開花中に色の動きがあり、瞬間を捉えた方が良かったりするので頭の痛い所です。

 

【失敗写真】トラ切れ写真

シャッターを切るタイミングの悪さから発生してしまう失敗例。スターマインの最中なので確かに撮影難易度は上がります。トラの演出は場合によっては2回、3回と繰り返す事もあるので、予測をしながら狙っていきます。

また、スターマイン中は露出オーバーを恐れるあまり途中でシャッターを閉じてしまう場合もあるかと思います。一応、メインの花火を捉えられれば形にはなりますが、全ての演出を1枚に収めた作品を目指しましょう。

【失敗写真】花火の重ね過ぎ

なるべく沢山の花火を入れて写真を華やかにしたいのは理解できるのですが、やり過ぎてしまうと折角の花火が重なってしまい、どう言う状況なのかが分からなくなってしまいます。また、長時間のシャッター開放は露出オーバーの原因にもなり兼ねません。撮影時には大玉が来たらとか、トラが終わったらなどシャッターを閉じるタイミングを自分で決めておく事が大切です。

また、重ね過ぎてしまうぐらいであれば、こまめにシャッターを切り、必要に応じて2枚目の画像と合成してしまった方が良いと思われます。この合成については事実と違う捏造の類いではなく、事実に近づける為の写真の処置と認識しています。同様の理由から添景の露出不足を補う為に行っている前露光や後露光した画像を重ねるのも問題ない行為だと考えています。

ここまで色々と書きましたが、結局は実践あるのみです。もし、何かわからない事がありましたら、メールでのお問い合わせや花火大会の会場で質問してくださっても結構です。一人でも多くの人が花火撮影の楽しさに気付いて貰えれば幸いです。

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