花火の心得

花火写真家 蛭田眞志 オフィシャルサイト of Masashi Hiruta ― 日本が世界に誇れる芸術作品「花火」この文化を多くの人に伝えたい ― 

花火撮影テクニック

【花火撮影テクニック】撮影実践

投稿日:2017年7月21日

撮影実践

いよいよ撮影の実践です。何よりもまず第一に花火を楽しむ事です。写真の出来ばかりに気を取られて肝心の花火を見ていなければ、この撮影法の説明は全く意味を成しません。

「こんな写真撮ってみたいな」と言うよりも「この花火大会に行ってみたいな」と思って貰える写真が1枚でも多く増える事を期待しています。

 

三脚の設置

風向きなどを考慮したら三脚の設置です。撮影時に動かない様に地面が固い場所を選びましょう。砂浜や雪原での設置は特に注意が必要です。

なお、三脚は強度の問題により太い脚から伸ばしていくのが普通ですが、砂地だと関節部分に砂が噛んでしまい使用不能になる場合もあるので、細い脚から伸ばすのが良いです。また三脚用のスノーシューを使ったりビニール袋などで保護をするのも有効です。

次に、三脚の高さですが、カメラを横位置にした状態でファインダーが目線に来るぐらいに設置するのが良いです。これは座った状態での撮影でも同じです。なるべく楽な態勢で撮影してください。続いて、そのままの状態で縦位置のシミュレーションをします。

当然、現時点よりファインダーが下にくる筈なのでエレベーターを使ってどれぐらいハンドルを回転すれば目線にくるのかを確認しておきます。水準器を使って水平の位置もこの時に取っておきます。(※カメラの設置位置によっては縦横が逆の場合もあります)

また花火撮影では、打ち上がる高さを調節する為にパン棒を上に向ける動作が多いです。三脚の足とパン棒が干渉するのを防ぐ為にカメラの取り付けを前後逆向きにしてみるのもよいかと思います。

あと、ここで注意するのは席を離れる時は必ずカメラを三脚から外しておく事です。隣に知り合いがいたとしても、急な雨や転倒までは責任が持てない場合もあります。また、盗難防止にも繋がります。

 

カメラの設定

続いてカメラの設定です。

  • シャッタースピード バルブモード(B)
  • 絞り 状況に合わせる(基本はF11程度)
  • ISO感度 基本は100
  • ホワイトバランス 白色蛍光灯(約4000K)
  • ピクチャースタイル 風景
  • 記録モード RAW+JPEG(両方とも高画質が望ましい)
  • 測光モード 評価測光
  • 長秒時露光のノイズ低減 OFF
  • 高感度時のノイズ低減 OFF

 

シャッタースピード 通常デジタル一眼レフにはバルブ(B)の設定がついています。バルブ専用の切り替えボタンがない場合でもマニュアル(M)でシャッタースピードを一番遅い30秒以上に設定するとこのモードが出てくる場合があります。

花火撮影ではシャッタースピードを自分で調整する撮影法になります。予め秒数を設定してしまうと花火の光跡が途中で切れてしまう不完全な写真ができてしまう為、バルブモードが必要なのです。

 

絞り 撮影中は絞り(F値)以外のボタンを触る事は基本的にありません。ダイヤルを回せばF値だけが変化する状態になればOKです。花火の種類や打ち上げ方(単発orスターマイン)によって明るさの調整を行います。花火のプログラムが必要なのはこの為です。

下に画像を載せましたが、あくまでも目安なので必ずしもこの限りではありません。田舎だと周囲が暗いのでF値を明るく設定したり、逆に都会や開始時間が早かったりすると逆に明るいのでF値を暗く設定したりと工夫が必要です。

また、花火会場ではなく遠距離からの撮影をする場合には空間の関係で通常よりもF値を明るく設定する必要があります。

和火 F2.8-5.6

和火 F2.8-5.6

洋火 F8-11

洋火 F8-11

マグナリウム系 F11-13

高輝度花火 F11-16

2尺玉以上の大玉 F11~13

2尺玉以上の大玉 F11~13

スターマイン F13~22

スターマイン F13~22

 

ISO感度 花火撮影では最低の100に設定するのが基本です。入門機やミラーレス一眼だと200からの場合もあると思いますが、その場合は200に設定しNDフィルターを使って明るさの補正を行います。ND4や8ぐらいが使いやすいと思います。

また、プロ用の機材などには拡張感度にISO50が付いていますが、これは使用しない方が良いでしょう。カメラ内で感度を疑似的に低く設定しているだけなのでダイナミックレンジが狭くなり白飛びしやすい傾向になります。

 

ホワイトバランス 一番、対応し易いのは白色蛍光灯(約4000K)が良いと思われますが、本格的に花火撮影をやるのであれば、RAWでの撮影が必須となります。ホワイトバランス設定はあくまでも花火の色を覚えておく為の目安だと考えておくのがよいでしょう。

よって、ピクチャースタイルの設定もあまり意味を成しません。(※風景モードが適当)記録モードはRAW+JPEGでの撮影が良いです。JPEGも大きいサイズで撮影する理由はデータの管理がしやすいからです。

なぜ、RAWでの撮影が必須なのか。それは打ち上がる花火によって設定を変えていく事は現実的には不可能だからです。本当に正しい花火の色を出そうと思ったら、前もって打ち上がる花火の色を把握し、打ち上がるまでの短時間で絞り、ホワイトバランス設定、ピクチャースタイル、ホワイトバランス補正まで変更して初めて正しい色が出せます。

しかも何度も撮り直して微調整できる風景写真とは違い花火は一発勝負です。カメラ側で無駄な設定をするよりも実際の花火をしっかり見て頭に色を記憶しておく事が重要です。

 

測光モード これは通常の評価測光で問題ないでしょう。(Nikonだと分割測光)よく絞り優先やプログラムモードなどオート撮影のみに適用されると思われがちですが、バルブ設定でも試しにスポット測光にしてみると違いがよく分かります。

 

長秒時露光のノイズ低減高感度時のノイズ低減 これは忘れずにOFFにしておきます。画質の低下は避けられませんが、花火撮影ではそれよりも撮影する事を優先にします。これがONになっていると撮影後、数秒から十数秒間カメラ内で処理が行われるので次の撮影をする事ができません。画質の低下と言っても驚く程の変化はありませんので必ずOFFに設定しておきます。

 

ピントの設定

撮影を始めたばかりの人は特にピントがあまい傾向があります。可能であれば明るい内に花火の筒の位置を把握し、筒に合わせてしまうのが手っ取り早いです。

まずレンズ本体についているオート(A)とマニュアル(M)になっている切り替えスイッチをマニュアル側に設定します。続いて、三脚を使うのでカメラ側に誤作動をさせない為に手振れ補正をOFFの状態に設定します。(CanonだとSTABILIZER、NikonだとVRと言う表記になっています)

設定ができたら次はピントリングの調整です。撮影マニュアルには無限遠が良いとされている記事も見掛けますが、遠距離からの撮影なら問題ないのですが、花火会場からだと撮れた写真を拡大してみると若干あまく写っているのが分かると思います。

一番確実に合わせる方法としては、画面切り替えでライブビューの状態にし、最大倍率まで拡大し打ち上げ筒や実際の花火に合わせるのが良いです。目安としては無限遠から少し手前に戻したぐらいになります。本当にピントがあっているのか撮れた写真を拡大して確認しておくのもお忘れなく。

 

シャッターのタイミング

レリーズがきちんと取り付けられているのを確認したら、試しにシャッターが切れるのかのテストをしておきます。撮影中は花火に興奮して強く押し過ぎない様に気をつけましょう。

基本的に単発打ち上げの時は打ち上げ筒から花火が出て花火が消えるまでシャッターを開けておけば大丈夫です。打ち上がる高さを把握して構図さえ作っておけば、それほど難しい技術ではありません。余裕があれば、背景を入れる為に花火が消えてもシャッターを開け続けておくのもよいでしょう。

スターマインについては難易度が高いです。これまでの予測と経験が必要になってきます。秒数で撮影するのではなく、大玉の開花が終わったらとか、トラの演出が終わったらとかでシャッターを閉じるタイミングを自分で決める必要があります。

また、音楽つきであれば、音の出だしから演出が始まるので小節を意識してみたりするのも良いでしょう。夜空をキャンバスに例えてどこまで花火の絵を描いていくのかをイメージする事が大切です。

NEXT RAW現像、仕上げ

→戻る

 

-花火撮影テクニック

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事

【花火撮影テクニック】RAW現像、仕上げ

RAW現像、仕上げ RAW現像、仕上げの内容です。現像については無限のやり方があるので正解はありません。1枚の写真ごとに方法も違うし、同じシーンでも撮影者が違えば違った現像方法になります。ここでは、あ …

【花火撮影テクニック】NG作品、失敗作品

NG作品、失敗作品 様々なサイトに花火の撮影方法についての記述はありますが、どんな写真が不適切で失敗なのかに関しての書き込みは殆どありません。勿論、写真に正解はありませんが、特に花火写真のジャンルにお …

【花火撮影テクニック】準備する機材

準備する機材 コンパクトカメラやミラーレス一眼などでも設定次第では撮影は可能ですが、ここでは一般的な撮影方法であるデジタル一眼レフカメラについて説明していきます。 デジタル一眼レフカメラ ズームレンズ …

【花火撮影テクニック】花火フォトコンテスト

花火フォトコンテスト 夏の期間に沢山撮影してきた花火写真。SNSにアップして満足するのもいいですが、折角ならフォトコンテストに応募してみるのはどうでしょうか。上手く入賞すれば、賞品や賞状などが貰えたり …

【花火撮影テクニック】花火撮影上達への近道

花火撮影上達への近道 花火撮影をする目的には、撮影するのが好きだから、記録したいから、自分を表現したいからなど、人それぞれの理由がある筈です。 最近では、SNSの発達により誰でも手軽に写真を発表する場 …

花火写真家として全国の良質な花火文化を記録や保存、そして拡散を目的に活動しています。日本花火鑑賞士会関東支部会員。◎当サイトの文章や画像の無断転載を禁止しています。
プロフィール詳細
最新花火情報2017
花火鑑賞ガイド
花火撮影テクニック
花火の歴史
花火写真ギャラリー
お問い合わせ