花火の心得

日本が世界に誇れる芸術作品「花火」この文化を多くの人に「写真」を通して伝えたい。

PHOTOGRAPHY

撮影実践

いよいよ撮影の実践です。何よりもまず第一に花火を楽しむ事です。写真の出来ばかりに気を取られて肝心の花火を見ていなければ、この撮影法の説明は全く意味を成しません。「こんな写真撮ってみたいな」と言うよりも「この花火大会に行ってみたいな」と思って貰える写真が増える事を期待しています。

 

三脚の設置

風向きなどを考慮したら三脚の設置です。撮影時に動かない様に地面が固い場所を選びましょう。砂浜や雪原での設置は特に注意が必要です。また、三脚は強度の問題により太い脚から伸ばしていくのが普通ですが、砂地だと関節部分に砂が噛んでしまい使用不能になる場合もあるので、細い脚から伸ばすのが良いです。また三脚用のスノーシューを使ったりビニール袋などで保護をするのも有効です。

次に三脚の高さですが、カメラを横位置にした状態でファインダーが目線に来るぐらいに設置するのが良いです。これは座った状態での撮影でも同じです。なるべく楽な態勢で撮影してください。続いて、そのままの状態で縦位置のシミュレーションをします。当然、現時点よりファインダーが下にくる筈なのでエレベーターを使ってどれぐらいハンドルを回転すれば目線にくるのかを確認しておきます。水準器を使って水平の位置もこの時に取っておきます。

また花火撮影では、打ち上がる高さを調節する為にパン棒を上に向ける動作が多いです。三脚の足とパン棒が干渉するのを防ぐ為にカメラの取り付けを前後逆向きにしてみるのもよいかと思います。

ここで注意するのは、席を離れる時は必ずカメラを三脚から外しておく事です。隣に知り合いがいたとしても、急な雨や転倒までは責任が持てない場合もあります。また、盗難防止にも繋がります。

 

カメラの設定

続いてカメラの設定です。

  • シャッタースピード バルブモード(B)
  • 絞り 状況に合わせる(基本はF11程度)
  • ISO感度 基本は100
  • ホワイトバランス 白色蛍光灯(約4000K)
  • ピクチャースタイル 風景
  • 記録モード RAW+JPEG(両方とも高画質が望ましい)
  • 測光モード 評価測光
  • 長秒時露光のノイズ低減 OFF
  • 高感度時のノイズ低減 OFF

 

シャッタースピード 通常デジタル一眼レフにはバルブの設定がついています。バルブ専用の切り替えボタンがない場合でもマニュアル(M)でシャッタースピードを一番遅い30秒以上に設定するとこのモードが出てくる場合があります。

花火撮影ではシャッタースピードを自分で調整する撮影法になります。予め秒数を設定してしまうと花火の光跡が途中で切れてしまう不完全な写真ができてしまう為、バルブモードが必要なのです。

 

絞り 撮影中は絞り(F値)以外のボタンを触る事は基本的にありません。ダイヤルを回せばF値だけが変化する状態になればOKです。花火の種類や打ち上げ方(単発orスターマイン)によって明るさの調整を行います。花火のプログラムが必要なのはこの為です。

下に画像を載せましたが、あくまでも目安なので必ずしもこの限りではありません。田舎だと周囲が暗いのでF値を明るく設定したり、逆に都会や開始時間が早かったりすると逆に明るいのでF値を暗く設定したりと工夫が必要です。また、花火会場ではなく遠距離からの撮影をする場合には空間の関係で通常よりもF値を明るく設定する必要があります。

和火 F2.8-5.6

和火 F2.8-5.6

洋火 F8-11

洋火 F8-11

マグナリウム系 F11-13

高輝度花火 F11-16

2尺玉以上の大玉 F11~13

2尺玉以上の大玉 F11~13

スターマイン F13~22

スターマイン F13~22

 

ISO感度 花火撮影では最低の100に設定するのが基本です。入門機やミラーレス一眼だと200からの場合もあると思いますが、その場合は200に設定しNDフィルターを使って明るさの補正を行います。ND4や8ぐらいが使いやすいと思います。

また、プロ用の機材などには拡張感度にISO50が付いていますが、これは使用しない方が良いでしょう。カメラ内で感度を疑似的に低く設定しているだけなのでダイナミックレンジが狭くなり白飛びしやすい傾向になります。

 

ホワイトバランス 本格的に花火撮影をやるのであれば、RAW現像が必須となります。実際の花火の色が分かっていれば、ホワイトバランスを設定する事に意味はありません。あくまでも実際の花火の色を覚えておく為の目安程度に考えておくのがよいでしょう。よってピクチャースタイルの設定もあまり意味を成しません。記録モードはRAW+JPEGでの撮影が良いです。JPEGも大きいサイズで撮影する理由はデータの管理がしやすいからです。

なぜ、RAW現像が必須なのか。それは打ち上がる花火によって設定を変えていく事は現実的には不可能だからです。本当に正しい花火の色を出そうと思ったら、前もって打ち上がる花火の色を把握し、打ち上がるまでの短時間でホワイトバランス設定、ピクチャースタイル、ホワイトバランス補正まで変更して初めて正しい色が出せます。しかも何度も撮り直して微調整できる風景写真とは違い花火は一発勝負です。カメラ側で無駄な設定をするよりも実際の花火をしっかり見て色を記憶しておく事が重要です。

 

測光モード これは通常の評価測光で問題ないでしょう。(Nikonだと分割測光)よく絞り優先やプログラムモードなどオート撮影のみに適用されると思われがちですが、バルブ設定でもスポット測光にしてみると違いがよく分かります。

 

長秒時露光のノイズ低減高感度時のノイズ低減 これは忘れずにOFFにしておきます。画質の低下は避けられませんが、花火撮影ではそれよりも撮影する事を優先にします。これがONになっていると撮影後、数秒から十数秒間カメラ内で処理が行われるので次の撮影をする事ができません。画質の低下と言っても驚く程の変化はありませんので必ずOFFに設定しておきます。

 

ピントの設定

撮影を始めたばかりの人は特にピントがあまい傾向があります。可能であれば明るい内に花火の筒の位置を把握し、筒に合わせてしまうのが手っ取り早いです。

まずレンズ本体についているオート(A)とマニュアル(M)になっている切り替えスイッチをマニュアル側に設定します。続いて、三脚を使うのでカメラ側に誤作動をさせない為に手振れ補正をOFFの状態に設定します。(CanonだとSTABILIZER、NikonだとVRと言う表記になっています)

設定ができたら次はピントリングの調整です。撮影マニュアルには無限遠が良いとされている記事も見掛けますが、遠距離からの撮影なら問題ないのですが、花火会場からの写真を拡大してみると若干あまく写っているのが分かると思います。一番確実に合わせる方法としては、画面切り替えでライブビューの状態にし、最大倍率まで拡大し打ち上げ筒や実際の花火に合わせるのが良いです。目安としては無限遠から少し手前に戻したぐらいになります。本当にピントがあっているのか撮れた写真を拡大して確認しておくのもお忘れなく。

 

シャッターのタイミング

レリーズがきちんと取り付けられているのを確認したら、試しにシャッターが切れるのかのテストをしておきます。撮影中は花火に興奮して強く押し過ぎない様に気をつけましょう。

基本的に単発打ち上げの時は打ち上げ筒から花火が出て花火が消えるまでシャッターを開けておけば大丈夫です。打ち上がる高さを把握して構図さえ作っておけば、それほど難しい技術ではありません。余裕があれば、背景を入れる為に花火が消えてもシャッターを開けておくのもよいでしょう。

スターマインについては難易度が高いです。これまでの予測と経験が必要になってきます。秒数で撮影するのではなく、大玉の開花が終わったらとか、トラの演出が終わったらとかでシャッターを閉じるタイミングを自分で決める必要があります。また、音楽つきであれば、音の出だしから演出が始まるので小節を意識してみたりするのも良いでしょう。夜空をキャンバスに例えてどこまで花火の絵を描いていくのかをイメージする事が大切です。

 

→戻る

執筆者:

花火写真家として全国の良質な花火文化を記録や保存、そして拡散を目的に活動しています。年間で30~60回程度の花火撮影を行います。日本花火鑑賞士会関東支部会員。◎当サイト掲載の文章や画像の無断使用を禁止しています。
プロフィール詳細
花火鑑賞ガイド
花火撮影テクニック
花火の歴史
花火写真ギャラリー
リンク集
お問い合わせ